写真部員は語りたい#3

「写真は引き算」についてのお話


こんにちは、4年生の神です。

いきなりですが皆さんは「写真は引き算」という言葉を聞いたことありますか?簡単に言えば「写真に写る余計な要素を極力減らそう」ということです。作品の作り方は人ぞれぞれだと思いますが、僕は最近「写真は引き算」を意識して作品を作ることが増えてきました。

その結果生まれたのがこの作品です。

「The Red」というタイトルをつけました。僕自身はかなり気に入っている作品です。

3月に開催した写真展に出展した作品です。オンライン展示はまだ公開中(記事執筆現在)ですので、まだご覧になってない方はこちらからどうぞ!

どのようにしてこの作品が生まれたのでしょうか?今回はその過程を紹介することで、みなさんに「写真は引き算」の考えに触れていただければと思います。

撮影時の「引き算」

普通に東京タワーを撮るとこうなりますね。

PENTAX K-1 + DFA 24-70mm f2.8, 20年8月撮影
SONY α7III + FE 24-70mm f4, 21年12月撮影

少し離れたところから東京タワー全体を撮ったのが左の写真です。しかし、電灯や歩いている人、マンションなど東京タワー以外のものがたくさん写っていますね。この写真では東京タワーを見てもらいたいのですが、余計なものが写っているとそちらに目を引かれて東京タワーを見てもらえないかもしれません。
そこで、もっと近寄って切り取ったのが右の写真です。(撮影したのは別の日です。)東京タワー以外の余計なものを排除できました。

しかし「もっとアップにしてもまだ東京タワーだと伝わるんじゃない?」と思ってさらにアップにしてみました。

SONY α7III + FE 24-70mm f4, 21年12月撮影

だいぶ寄りで撮りましたが、東京タワーだとわかりますね。

しかし、僕は厨二病なので普通に東京タワーを写すのでは満足できないのです。そこで、あることを思いつきました。それは「わざとブラして撮ろう」というアイデアです。

SONY α7III + FE 24-70mm f4, 21年12月撮影

ということでわざとブラして撮ってみました。こうなるとシルエットやディティールがぼやけて、ある意味「鮮明さを引き算した」と言えますね。

編集時の「引き算」

さて、だいぶ色々な要素が削ぎ落とされた素材を撮影しましたが、まだ引き算できる要素がありますね。それは色です。「東京タワーだとわかるなら、別に色がなくてもいいじゃん」というわけです。

こうして誕生したのが冒頭で紹介した作品です。(1つ前の状態を単純にモノクロにしたわけではなく、その他細かいところも修正しています。)

SONY α7III + FE 24-70mm f4, 21年12月撮影

作品にするには?

作品データができたわけですが、展示会に出す「作品」にするためにはまだやらねばならないことがあります。それは「タイトル決め」です。

今まで散々引き算の話をしてきましたが、今回タイトルを考える際には「足し算」をしました。要素を削ぎ落としすぎて東京タワーだとわかってもらえないかも?と思ったためです。
しかしせっかくここまで要素を減らしてきたので「東京タワーだよーー!!」という感じのあまりにも直接的すぎるタイトルをつけるのでは面白くないと思いました。タイトルもなるべく要素の少ないものにしたかったのです。

そこでつけたタイトルが「The Red」です。色を抜いてしまった分、タイトルで色を補完して、観る人が色を想像しやすくなるようにしました。

対面展示会での展示風景。他にも印刷する紙や使う額など、色々考えたことはあるのですが今回は割愛します。

おわりに

このような過程を経て「The Red」は誕生しました。これ以来僕は「構造物を普通に撮れない病」を患い、どうにかして人とは違う観点で撮れないかと模索しながら写真を撮っています。

今回ご紹介した「僕流の引き算」はいわゆる普通の写真ファンが使う「引き算」とは少し違う領域に踏み入ってしまった気がするので、「写真は引き算」について興味を持ってくださった方はぜひネットに出ている(僕のような厨二病患者ではなく、一般写真ファンが書いた)他の記事も読んでみてください。

それではまたどこかで。最後までお読みいただき、ありがとうございました。

タイトルとURLをコピーしました